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広島県教育委員会の先見の明

倍率1.0を切る高校入試

 

昨日の倍率発表はなかなか衝撃的でした。

 

全県全体で倍率が1を切り、

広島市南部の人口密集地域以外は広島市内でも

1倍を切るところが少なくなく、

安佐南区では沼田高校以外は軒並みフリーパスという状況が

明らかになりました。

 

とは言え、

この状況は広島市以外の郡部では何年も前から常態化しており、

今年になってその状況が安佐南区にも侵食してきたと

理解した方が正しいでしょう。

 

それは、明らかに少子化の影響ではありますが、

同時に私立志向が強まったこともある要因の一つです。

 

いずれにせよ、この状況はしばらく続くでしょうし、

大幅な公立高校の定員減、統廃合が進まない限り、

倍率が大幅に増えるということはないと思われます。

 

結局、現実において

広島市南部の人口密集地以外では、

高校入試が選抜試験の役割を果たさなくなりつつあるのです。

 

 

「自己表現」の役割

 

そして、

この状況になることはおそらく広島県教育委員会は

把握していたはずです。

 

少なくとも予見はしていた。

 

だから、

平川教育長は「自己表現」を導入したのではないかと勘繰ってしまいますね。

 

だって、

高校入試が選抜試験としての役割を果たさなくなるのです。

 

最低限の水準をクリアしていたら、

もはやフリーパスと言っていい状況です。

 

そんな状況で、

「ちゃんと勉強しないといい高校にいけないよ」

なんて時代錯誤のギャグでしかありません。

 

広島市内の、比較的栄えている南部に通う野望さえ持たなければ、

「いい高校」に通うことは可能になりました。

(今回倍率1を切った安古市や祇園北だっていい高校です)

 

 

大人側もきちんと考え方をアップデートする必要があるのです。

 

今の子どもたちの祖父母世代から受け継がれてきた

「ちゃんと勉強しないといい高校・大学に行けないよ」が

通用しなくなる時代はもうすぐそこまでやってきているのです。

(大学入試においても半分以上が推薦入試や総合選抜で合格を決めます)

 

 

受験という関門によってイマイチ覆い隠されて来た

「勉強する意味とはなんだろう?」

というこの問いに真正面から向き合う必要が出てきました。

 

今までは、

「勉強の意味? そんなことはどうでもいいから現実を見て勉強しろ」

と言っておけばよかったものが、これからは通用しません。

 

 

 

 

さあ、どうやって子どもたちに勉強する意味を伝えるのか?

 

これは、実に難しい。

 

私がずっと取り組んできたキャリア教育もやはり興味ある子とない子に分かれます。

 

全員が素直に聞くことはまだありません。

 

それでも根気よく続けていくことが大切だと思っていますが、

「自己表現」を全員が取り組むべき制度として導入してくれたのは

本当にありがたいです。

 

 

 

いやあ、

広島県教育委員会、ナイスです。

 

平川教育長、ありがとうございます!

 

 

改善点は今後出てくると思うのですが、

Moveはこの問題に正面から向き合っていきたいですね。

 

 

そういえば、

今年1年の間で、自己表現に否定的な塾さんや塾長にたくさん会ってきました。

 

 

そういう人たちはどうするのでしょう?

 

倍率1.0を切る高校入試を前にして、

「ちゃんと勉強しなかったらいい高校に行けないぞ」と

叫び続けるのかな?

 

そんなことはあと数年で安佐南区では完全に通用しなくなるでしょうに。