
こんにちは。
進学空間Moveの宮脇です。
先日(4月24日頃)、政府から公立高校入試制度について新たな方針が示されました。
現在の「単願制」から「併願制」への移行が検討されているとのことです。
この発表について、現場の教育者として思うところを共有したいと思います。
率直に申し上げて、この方針は大歓迎です。
広島の高校入試における現状の課題を解決する可能性があると考えています。
広島の高校入試の大きな課題の一つは、公立高校と私立高校の学力レベルや進学実績に差があることです。
例えば、広島市内北部地域では、基町高校を志望していた生徒が不合格だった場合、多くの子が崇徳高校を選ぶ傾向があります。
しかし、両校の大学合格実績にはかなりの差があるのが現実。
そのため「基町高校に受からなかったら崇徳高校」という流れを避けて、基町高校への挑戦を諦める生徒も少なくありません。
もし併願制になれば、基町に合格できなかった場合でも国泰寺高校や安古市高校などの公立上位校へ流れる可能性が広がり、より多くの生徒が挑戦しやすくなるでしょう。
現在の単願制では一校しか受験できないため、このような選択肢の幅が限られています。
一方で、この変更は、私立高校にとって大きな転換点となりそうです。
現在の単願制では、公立高校を1校しか受験できないため、
上位公立校に合格できなかった生徒の受け皿として一部の私立高校が機能してきました。
しかし、公立高校間での複数受験が可能になれば、私立高校への進学者数、そして進学者層に影響が出る可能性が大きい。
特に私立高校無償化も進む中で、私立高校がどのように対応していくかは大きな課題となるでしょう。
ただし、この制度変更が実施されるのは早くても2年後、おそらく3~4年後になると予想されます。
今年の中学3年制に適用されることはありえません。
なぜなら、内申点の比率を含む制度変更は、生徒たちの学校生活に影響を与えるため、十分な周知期間を設けた上での実施になるはずだからです。
一方で、私立高校無償化は来年から始まります。
例えば併願制が3~4年後に並行制が導入された時に、私立高校がどのような状況になるかは不透明な部分もあります。
今後の動向には注意が必要です。
最後に、毎年話題になる広島の「自己表現」試験の撤廃については、併願制の導入とともに廃止される可能性が高いと考えています。
併願制では、例えばA高校で自己表現の試験を頑張ったのに、最終的にB高校に合格するというケースも生じうるため、現在の形式での自己表現試験は成立しにくくなるでしょう。
とは言え、現段階ではまだ方針が発表されただけであり、具体的な制度設計はこれからです。
県教育委員会の動向には引き続き注目していきたいと思います。
新しい情報があれば、随時お知らせいたします。きい

進学空間Move塾長
宮脇慎也(Shinya Miyawaki)
27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。
8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。
その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。
1977年生。射手座。B型。
家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。
コメントをお書きください