勉強する理由は「○○だから」ではない!


1. はじめに

こんにちは、進学空間Move塾長宮脇です。

今日は少し暑苦しい文章になるかもしれません。

ちょっと僕が嫌いな文章に出会ってしまって、それに対する反論をしておきたいのです。

 

人によっては僕の反論の方がおかしいと思うかもしれないのですが、個人的に大嫌いな主張を目にしてしまい、「ああ、まだこんなことを言う人がいるのか」と驚いたので、その気持ちをそのままに文章にぶつけたいと思います。

2. 勉強しなくてはいけない理由

 

私が嫌いなその主張とは

 

「勉強しなくてはいけない理由は日本が学歴社会だから」

 

というものです。

 

要するに、何をどう言っても日本は学歴社会なのだから、就職に有利なように、そして、そのあといい給料をもらえるように、いい社会的ステーテスを手にいられるように、しっかりと勉強して学歴を手に入れるために勉強しなくてはいけないんだ、という主張です。

 

そして、東大とか旧帝大とかの学歴を持っている人は、実際にそうした人生を歩んでいる人が多いというデータに基づいた主張ですね。

 

 

まあ、昔からよく見た主張ですね。

 

その理由が一理あるというか、何十年も前から言われており、この言葉に信憑性があると感じる方も多いのでしょう。

 

でも、昔ならいざ知らず、今の10代にそれを言ったところで僕は逆効果だと思っているし、自分自身それほど「学歴」を武器に世の中を渡ってきた覚えがないので、この主張に首を傾げることが多いのです。

 

 

その点をもう少し掘り下げていきますね。

 

 

 

3. 学歴は相対的に重要性を落としている

 

これは以前にも書いたことがあるのですが、学歴の重要度は以前よりも落ちていると感じています。

 

というのは、日本の企業の特徴であった「終身雇用」が終わりを迎え、一人の寿命と就業期間が伸びているからです。

 

2000年以前では、定年退職が55歳だった時代があり、人は30年ほど一つの企業に勤めることが当たり前でした。

そうして、55歳や再雇用で60歳で退職金をもらい、老後の生活に入ったのです。

この制度の下では、そりゃあ、学歴は重要でした。

最初に入った会社で一生の給料が決まり、その後の生活も決まりますからね。

 

その最初の就職の段階で自分の能力が判断される学歴は、そりゃあ大変重要です。

今の50代〜40代の保護者世代が若い頃に、苛烈な受験戦争が起きたのには、それなりの理由があったと理解しています。

 

しかし、現代はどうでしょうか?

 

かつては「日本的経営の三種の神器」の一つと言われた終身雇用は崩壊を迎え、

人々は65歳まで働き(今の10代はおそらく75歳まで働くことになります)、

転職を繰り返しながら、自身のキャリアを構築している人も増えてきています。

 

もちろん一方で、従来通り一つの企業の中で働きながら、キャリアを積み上げている人もいます。

 

そして、前者の、転職を繰り返し自らのキャリアを構築している人からすると、

どんどん学歴の意味が薄れていくはずです。

 

なぜならば、18歳時点の能力なんかよりも、その後に能力をいかに伸ばしたかが重要になるからです。

 

昔のような18歳の段階で得た学歴の重要性は随分と薄れているのではないでしょうか。


学歴社会だからという主張は、実は18歳段階であたかも一生が決まる印象を与える点も良くないですよね。

 

 

 

 

4. 学歴社会論を嫌う理由

 

学歴が以前より重要性を落としていると私が主張する理由は理解していただけましたか?

 

この話、まだまだ続きがあるのですが、それは別の機会でお話しします。

 

 

今日は、ついで、僕が学歴社会論を嫌う根本的な理由を挙げますね。

 

 

それは、

 

「日本は学歴社会だから、高学歴を手に入れるために、しっかりと勉強しなくてはいけない」

 

というこの主張は、

 

まっったくワクワクしないんですよね。

 

 

つまらないと思ってしまうのです。

 

 

むしろうんざり感の方が強いです。

 

 

 

僕が学生の頃にも、同様の主張で勉強させられた覚えがありますが、

何にも面白くないと思ってしまうのです。

 

このモチベーション、いわゆる「恐れベースのモチベーション」に分類されて、聞かされる方はしんどいんです。


「学歴をちゃんと持たないと人生大変だぞ」というように聞こえ、脅されているように感じます。

 

子どもたちに伝えたくないんですよね。

 

このモチベーションで勉強した子は、どこかで息切れを起こしやすいことも知っています。

 

もっとワクワクしたモチベーションで勉強して欲しいのです。

 

 

 

5. 勉強はしておいた方がいい

 

もちろん学力を上げて、自分の能力を高めることを否定しているわけではありません。


それは大いにやるべきだと思います。

私たち塾はそのためのお手伝いをしています。


ただ、その際に子どもたちには、もっと面白い理由で勉強してほしい。

 

〇〇になるためには、知識が必要でそのために勉強したい!だとか、

勉強していると知らないことが知ることができて、それが純粋に楽しい!だとか、

得点がどんどん伸びて、自分の能力が上がっていくのがわかって楽しい!だとか、

将来どうなるか分からないけど、自分のキャリアを色々な角度から構築したいから、そのために幅広い知識をつけたい!だとか、

大学や企業で△△のことを研究したいからそのために勉強したい!だとか。

 

もうなんでもいいですよ。

 

「日本が学歴社会だから」なんていう理由より、よほど楽しそうです。

 

僕がおすすめの勉強する理由もありますが、自分自身で探してみてください。

 

 

そうそう。

 

僕は決して、難関高校・難関大学に進学することを否定しているわけでもありません。

 

そうした環境でしか経験できないものもたくさんあります。

 

みなさん自身が楽しいと思う勉強しなくてはいけない理由を探してみてくださいね。

 

 


進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。