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学習の根幹にある「抽象化」能力を身につけよう

学習において、抽象化する能力は大変重要な意味を持ちます。

ですが、抽象化の意味をきっちりと理解している生徒は少ないです。

 

 

辞書的な意味をひいてみましょう。

抽象化(ちゅうしょうか、英: Abstraction)
思考における手法のひとつで、対象から注目すべき要素を重点的に抜き出して他は捨て去る方法である。反対に、ある要素を特に抜き出して、これを切り捨てる意味もあり、この用法については捨象(しゃしょう)という。

ちょっと表現が難しいですね。

 

要するに、物事の共通点を抜き出して、一般化する手法です。

 

例えば、

<具体例>

  • いちごは酸っぱいけど美味しい。
  • バナナは甘くて美味しい。
  • りんごは甘酸っぱくて美味しい

   ↓

<抽象化>

  • くだものはそれぞれの味があって美味しい。

こんな感じです。

 

一般化することで、意味を広げつつ単純化する思考方法だともいえます。

 

抽象化ができると勉強が楽に進む

 

例えば、英語には英語のルールがあります。

それを文法と言いますが、それは結局『抽象化』しているということ。

 

英語学習での具体例

 

中学1年生の英語で、英語の基本的な形が教えられますね。

肯定文なら、

  • I play tennis.(私はテニスをします)
  • She studies English.(彼女は英語を勉強している)
  • He brought this bag.(彼はこのバッグを運んだ)

といった英文を学びますが、これを抽象的に捉えると

 

主語 + 動詞(一般動詞・be動詞) + 目的語 ….

 

となります。

 

英語初学者であれば、まず最初に出会う英文の形であり、Moveでは中1の4月に伝えます。

 

ところが、中2や中3の新入塾生に聞いてみると、ほぼ間違いなく「初めて聞いた」という返事が返ってくるのです。

 

びっくりです。

 

これまで、一体どうやって英語を組み立ててきたのでしょう?

 

結局、子どもたちは教科書の英語に一貫して通じる「共通点」を知らないまま、個別に英文を覚えているのです。

 

そりゃあ、英語が苦手になるでしょうね。

 

そんなこと面倒くさいし、完璧に覚えきれるものでもない。

 

【具体】→【抽象】→【具体】のサイクル

 

具体的な英文から共通点を取り出して、抽象化する。

 

そして、抽象化したルールを別の文に当てはめて英文を作り上げる。

 

小難しく言っているように見えて、実はこっちの方が簡単だし、学力アップにつながります。

 

私は、この【具体】→【抽象】→【具体】と置き換えていく能力は、学力の根本にあると強く感じています。

 

ところが、これが子どもたちにとって難しい。

  • 数学にしたって、公式をあてはめることができない。
  • 長い問題文を「結局どういうこと?」と図に起こすことができない。

特に、単純なプリント学習しかやってこなかった子に顕著にみられる傾向です。

 

そりゃあ、数学も苦手になるわなあ……。

 

小学校国語の重要性

 

そうした現状を打破する方法の一つとして、Moveでは小学校国語を重視しているのです。

 

小学生のうちに抽象化という概念を知ることの重要性は、きっとどれだけ強調しても強調しすぎることはありません。

 

この辺りを掘り下げるといくらでも話が出てくるのですが、詳しい話は、また別の記事でしますね。

 


進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。