
普通の人生なんてない
今日は皆様に、あるデータをお見せし亜mす。
元ネタとなっているのは、『現場で使える教育社会学 - 教職のための「教育格差」入門』(2021, ミネルヴァ書房)です。
わかりやすいので図でご覧になっていただきます。

『現場で使える教育社会学 - 教職のための「教育格差」入門』(2021, ミネルヴァ書房), p.187の図を撮影・転載
お分かりでしょうか?
細かいことは置いておいて、真ん中のルートをご覧ください。
中学生1000人のうち、
高校に進学する子は970人、
そのうち無事に高校を卒業するのは896人、
そこから4年生大学にストレートで入学するのは413人、
留年もせずに4年で卒業できるおは331人、
さらに正規雇用で就職するのは240人、
そして、3年以内に離職しない子は163人というデータです。
すなわち、一切の挫折もせずに
いわゆる一般的なルートを通る子なんていうのは、
1000人中163人しかいないという事実です。
私が言っているわけではありません。
本文の中にも「『みんなが選んでいる標準的な進路』はそもそも存在しない」(同p.186)とあります。
教育学の教授たちもデータからそう結論づけるのですね。
確かにこの図を見る限り、僕ら大人が理想とする「普通の道」を通る生徒は、実は1000人中、163人しかいません。
しかも、この163人は「現役で4年生大学を卒業して就職して3年以上離職しない人」というくくりですからね。
163人の大学もさまざまなはずです。
高学歴と呼ばれる大学を卒業した生徒となると、半分の80人にも満たないでしょう。
つまり、
僕らのような大人が思い描く「いい高校→いい大学→いい会社」というルートを通って、そのままそれが人生の安定・幸せにつながる人なんて、10人に1人もいないということなのです。
もちろん、だからと言って学力が低くていいとは思いません。
ここで伝えたいのは、
学力を高めると同時に、こうした多様化した進路の現実を見据え、いかに自身のキャリアを形成していくか、
そんないわゆるキャリア教育の重要性です。
「勉強しろ。この10%に入らないと幸せになれないぞ」というのなら、世の中の90%は不幸せな人になってしまいます。
そんなことはないでしょう。
学力は高める。
その上で、多様化した進路のうちどのような進路を進むのか、自分で選択する。
そのような価値観を形成しながら、勉強していくことが大切なのでしょうね。

進学空間Move塾長
宮脇慎也(Shinya Miyawaki)
27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。
8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。
その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。
1977年生。射手座。B型。
家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。
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