「考えなさい」が逆効果?成績低迷期の子どもへの正しい声かけとは

目次

1. よくある声かけの落とし穴

こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。

今日は、ある生徒の言葉から気づいたことについてお話ししたいと思います。

それは保護者の方がお子さんにかける「1問1問しっかり考えないとダメでしょ」という声かけについてです。

まず最初にお伝えしたいのは、このような声かけをされている保護者の方を責めるつもりは全くないということです。

むしろ、お子さんの学力向上を願う親心からの言葉だと私は理解しています。

一見すると、とても正しい指導に聞こえますし、実際にしっかり考えて問題に取り組むことは理想的だと私も思います。

 

しかし、お子さんの状態によっては、この愛情あふれる声かけが意図に反して逆効果になってしまうことがあるのです。

特に、まだ勉強方法が身についていない子や、どうやって勉強していいかわからない成績低迷中の子には、タイミングを見極めた声かけが必要だと感じています。

2. なぜ「考えなさい」が逆効果になるのか

最終的には理想として、もちろんしっかり考えて欲しいのですが、考えるための知識が大きく不足している子に「考えろ」と言っても、まず無理なのです。

考えて答えが出る問題であればまだしも、知らないから答えられない問題に対して「考えましょう」は本当に無理です。

 

正直、皆さんは「考えて頑張れば何とかなる」という夢を見すぎだと思います。

もっとシビアに物事を考えた方が良いでしょう。

知らないものは知らないのです。

知らないものは調べてわかればいいのです。

教科書を見てもわからなかったら答えを見て「あー、なるほど」と思えばそれでいいのです。

考えなくてはいけない問題も、考え方や考える材料がなければ考えようがありません。勉強において一番怖いのは、考えてもわからずにぼーっとしてしまう時間です。頭を空っぽにして、ただ時間が過ぎ去るのを待つということが癖づいてしまうと、これは学力向上以前の問題になってしまいます。

3. 具体的な声かけの違いを知ろう

では、実際にどのような声かけが効果的なのでしょうか。今までの声かけが間違っていたということではなく、お子さんの状況に合わせて少し調整してみるという気持ちで、NGな声かけとOKな声かけを比較してみましょう。

従来の声かけ

「もっと考えなさい」→ 調整後の声かけ:「教科書の○ページを見てごらん」

「答えを見ちゃダメ」→ 調整後の声かけ:「答えを見て解き方を覚えよう」

「なんで分からないの?」→ 調整後の声かけ:「一緒に参考書で調べてみよう」

 

この違いがお分かりいただけるでしょうか。

従来の声かけも愛情から出ているものですが、調整後の声かけは具体的な行動を示しています。

知識が不足している段階では、「どうやって調べるか」「どこを見ればいいか」を教えてあげることが何より大切なのです。

これまでの接し方を大きく変える必要はありません。

ほんの少しの調整で、お子さんの反応が変わってくるはずです。

4. 子どもの状態に応じた適切な声かけ方法

そこで、お子さんがどういう状態になっているのかを、ぜひ見極めていただきたいと思います。

知識が不足している段階では、「しっかりと参考書で調べて答えを書けばいいのよ」と言ってあげてください。

もしくは、教科書等で調べることもまだ難しいようであれば、「答えを見て問題の解き方を知ればいいんだよ」と伝えてもらえたらと思います。

これまで一生懸命にお子さんを支えてこられた保護者の皆さんです。

これからも変わらずお子さんを応援していただきながら、声かけの方法だけほんの少し工夫していただければと思います。

考える材料が揃ってきたり、考え方がわかってくるようになってきたら、その時になって初めて「しっかり考えよう」ということができるようになります。

特に中学生になって学力が低迷してしまったという子に関しては、しっかりじっくり丁寧に考えるなんていうのは、最初のうちはまず無理だと思ってください。

焦らずゆっくりと、その子の状態に合った声かけを心がけていただけたらと思います。

お子さんの成長段階を見極めた適切なサポートが、きっと学力向上への近道になるはずです。

 


進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。