その悩み方を「傲慢」と言います

目次

※塾の様子を写真に撮りAIを使って画像をしてみました

1. 研究者時代の恩師から学んだ「謙虚さ」の本質

こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。

今日は、私の人生に大きな影響を与えた恩師の言葉についてお話ししたいと思います。

実は私、27歳まで大学院の博士課程後期に通っていて、歴史学に近い研究分野に勤しんでいました。

要するに、私には歴史研究者の卵だった時期があるのです。

日々、外国語の文献を日本語に訳して、何年もかけて過去の人々の姿を観察し、それを理論化する。

そんな地味な作業を27歳まで続けていたのです。結局、塾の先生になったので、その道では挫折したわけですが。

その当時の指導教授は本当に立派な方で、この分野では知らない人はいないほどの研究者でした。

私の人生初の師匠です。

今でも心から尊敬しています。その教授の口癖が「常に謙虚であれ」という言葉でした。

2. 科学者としての正しい姿勢とは

その教授が言う謙虚さの意味は、こういうことでした。

「科学者であれば、自分の言葉に責任を持たないといけない。

論文に載せるその一言を書くために、何年もかけて実証研究を重ね、真実を見出していく。

自分がどんなに素晴らしい学説を思いついたとしても、それに浮かれることなく、その実証に膨大な時間を過ごすのが科学者だ。

自分を過信することなく、ただ事実を積み重ねていく。

そして、自らの間違いは素直に認め、修正していく。それが科学者たるものの正しい姿勢である」

当時まだ20代の若者だった私には、この教授の言葉は大きな衝撃を伴って胸に響きました。

研究者の世界に入って30年以上経ち、国立大学の教授にまで上り詰め、それでもなお「生涯一書生でありたい」と言い続けた一人の研究者の姿でした。

3. 塾生たちの「傲慢」な悩み方

そうした恩師の姿勢と比べて、塾生の悩み方を見ていると「謙虚とはほど遠いなあ」と思うことが時折あります。

私から見たら、数値としても伸びているし、きちんと成長しているにもかかわらず、そんな自分をダメだと思い込んでしまう生徒がいるのです。

 

本人としては、一生懸命真面目に勉強について悩んでいるのでしょう。

しかし、そんなのを「勉強にきちんと向き合っている姿勢」とは言いません。

課題をきちんとやっているから、数週間テスト勉強を頑張ったから、数ヶ月塾に通ったから、一年それなりに勉強したから、だから自分はもっともっと伸びていていいはずだ。

こういう姿勢を「傲慢」と言うのです。

そんな傲慢な姿勢では、いつかどこかでぽきっと折れてしまいますよ。

しかも、自分ができている部分には目もくれず、できない部分だけにフォーカスして思い悩む。

なんて傲慢なことでしょうか。

4. 本当の謙虚さが導く成長への道

できないのは当たり前。それは分かった。それでも、自分はやり続ける。

一つ一つ積み重ねる。

謙虚な姿勢というのは、そういうものです。

もちろん、やってもやっても思い描くレベルに到達しないと思うことはあるでしょう。

しかし、それでも自分が到達した地点を確認し、その先に進むためにコツコツとやり続ける。

自分なりに頑張っているつもりでも、隣のクラスメートが眩しく感じることはあるでしょう。

しかし、それでも自分ができるようになったことを確認し、その先に進むために粛々とやり続ける。

5. 「比較の罠」から抜け出す実践的な方法

では、具体的にどうすれば傲慢な悩み方から脱却できるのでしょうか。

私がお勧めしたいのは、他人との比較ではなく「昨日の自分」と比較する習慣を身につけることです。

週に一度、「先週の自分と今週の自分」を比較してみてください。

例えば、「先週は数学の計算問題で間違いが5個あったけれど、今週は3個に減った」

「先週は英単語を覚えるのに30分かかっていたけれど、今週は20分でできるようになった」といった具合に。

 

どんなに小さな変化でも、それを認めてあげる「自分軸評価法」を身につけるのです。

隣の席の友達が90点取ったからといって、自分の70点がダメなわけではありません。

先月60点だった自分から10点も上がっているじゃないですか。

私が知る限り、本当に高いレベルに到達している人は、そういう「謙虚な姿勢」を獲得しているものです。

「謙虚」な姿勢が、自分をとんでもない世界に連れていってくれることを知ってくださいね。


進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。