中学受験は本当に必要?広島県の私立中学進学率10.3%・全国7.9%という現実

目次

1. 誤った情報が一人歩きしている

こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。

今日は少し気になることがあって、筆を取りました。

最近、あるところで誤った情報が流れているのを目にしたんです。

それは中学受験に関する数字についてなんですね。

特に首都圏や関西圏を中心に私立中学入試が盛んに行われていて、XなどのSNSを見ると保護者の方々の熱心なポストが溢れています。

 

そうしたポストを見ていると、まるで世の中の多くの人が私立中学入試をしているかのような印象を受けてしまうんですよね。

実際に「中学受験をしないとまずいんじゃないか」と勘違いされている方もいらっしゃるようです。

ですので、今日は正確な数字をお伝えして、冷静に考えるきっかけにしていただけたらと思います。

2. 全国の私立中学進学率はわずか7.9%

まず、現在私立中学に通っている生徒の割合ですが、全国で7.9%、およそ8%という数字になっています。

令和6年の正確なデータを見てみましょう。

  • 全国の中学校在学者数:3,141,132人
  • 私立中学校在学者数:247,982人

つまり、10人に1人もいないということなんです。

さらに、国立中学(広島で言えば広大附属のような国立大学附属中学)に通っている生徒は0.9%います。

私立と国立を合わせても約9%、10人に1人に満たない程度なんですね。

 

この数字を見て、私はこう思うんです。

「中学受験をしないと幸せになれない」とか「難関大学に進学することが難しくなる」という主張は、かなり怪しいんじゃないかと。

だって、91%の人が普通の公立中学に通っているわけですから。

その人たちがみんな不幸になっているかと言えば、そんなわけがないですよね。

 

実は東京方面にお住まいの方からご相談を受けることがあるんですが、「中学受験をしないと、まともな人生が送れないんじゃないでしょうか」といった切実な声を聞くことがあります。

でも、世の中の91%の人は全然そんなルートを通っていないわけで、それでもちゃんと幸せに生きているんですよ、とお伝えしたくなります。

3. 地域差はあるが、広島は全国6位

とはいえ、地域によって進学率には差があります。進学率の高い地域から順に並べると、このようになっています。

  1. 東京都:約20〜26%(最新データでは19.8〜20.65%)
  2. 高知県:18.5%
  3. 京都府:14.1%
  4. 奈良県:13.1%
  5. 神奈川県:11.3%
  6. 広島県:10.3%

広島県は現在、全国で第6位なんですね。比較的中学受験が盛んな地域ではあります。

ただ、福岡や名古屋といった広島よりも栄えている都市でもこのランキングに入っていないことを考えると、都会だから中学受験が盛んというわけでもないようです。

 

高知県が意外に高い数字になっているのは、高知県特有の事情があります。

田舎であるがゆえに教育に対する危機感を持っている保護者が多く、学力向上への意識が高いという背景があるんです。

関東圏や関西圏が比較的高いのは事実ですが、全国で見ればやはり7.9%という数字が現実なんですね。

都道府県別 私立中学校在学者数と進学率

都道府県 全体(人) 私立(人) 私立に通う割合(%)
全国 3,141,132 247,982 7.9
東京 313,944 82,697 26.3
高知 15,763 2,916 18.5
京都 62,680 8,854 14.1
奈良 33,583 4,397 13.1
神奈川 221,631 25,125 11.3
広島 74,356 7,676 10.3
大阪 214,779 21,644 10.1
和歌山 22,613 2,118 9.4
兵庫 139,347 12,149 8.7
千葉 153,809 10,683 7.0

4. 公立中学でも十分に力はつく

いかがでしょうか?

進学空間Moveでは基本的に私立中学受験は取り扱っていません。

ですので、中学受験の世界と合わなかった生徒さんたちと出会うことが多く、正直なところ中学受験の良さがあまりピンと来ていないという立場にいます。

 

また、私立中学に入ってからいわゆる「深海を潜る」子も多く(私はこういう子によく出会います)、私立中学に入ったから安泰ということもないわけです。

 

ただ、Moveの生徒たちを見ていると思うんです。

公立中学でも力がつく生徒は本当に多いんですよ。

もちろん、最終的に東大や京大といった最難関大学を目指すのであれば、私立中学のトップ校に入ってその中でトップにいる方が確率は高いかもしれません。

でも、そうでないところ、つまりトップ校以外の私立中学であれば、公立中学から公立高校へ進学する子たちも十分に成果を出しているんです。

実際、そういう生徒は多いわけで、十分に力をつけていけるんじゃないかと思っています。

 

この数字だけを見ても思うんです。

東京以外は、そこまで「中学受験をどうしてもしないといけない」という状況ではないんじゃないかと。

もちろん、お子さんの適性や家庭の方針によっては中学受験が良い選択肢になることもあるでしょう。

それを否定するつもりは全くありません。

 

ただ、「中学受験をしないと将来が不安」という切羽詰まった感覚を、少なくとも広島で感じる必要性はあまりないんじゃないかな、というのが私の率直な思いです。

 

皆さんは、この数字を見てどのように思われるでしょうか?


進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。