文理選択で迷う高校1年生へ~年収だけで決めてはいけない理由~

目次

1. 塾生からの相談がきっかけで

こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。

今日は高校1年生の皆さんのために、文理選択に対してのアドバイスをお話ししたいと思います。

私の主観がかなり強い部分もありますが、ぜひ参考にしていただければと思います。

先日、Moveの塾生から文理選択についてご相談を受けました。

まだ6月ではありますが、秋の学校での調査に向けて準備を始めたいということでした。

その生徒が言うには「就職のことを考えると、どうやら理系が有利そうなので、理系に進もうと考えているのですが、どう思いますか?」という内容でした。

ただ、実際にその生徒の話を聞いてみると、本当は文系の方に興味があるとのことでした。

外国との関係や国際関係、経済的側面、外交的側面、あるいは政治学といったものに興味を持っているけれど、理系も嫌いではない。

そんなどっちつかずの状況で就職のことを考えたり、平均年収のことを考えると、理系の方が良さそうだという結論に至りそうだったのです。

 

2. 年収差だけで人生を決めることへの疑問

結論から言うと、その理由だけでの理系選択には大反対です。

確かに、ネットで調べると理系の平均年収が600万円で文系が560万円程度というデータが転がっています。

おそらく、そんなに間違っているデータではないでしょう。

大学卒業段階の新卒22歳での就職をゴールにするのであれば、そんな考え方になるかもしれませんが、ちょっと待ってください。

以前から何度かお伝えしているように、今の10代の子たちは22歳で就職して60歳で定年を迎えることはおそらくありません。

70歳、75歳、場合によっては80歳まで働くような時代を生きる世代だと私は正直思っています。

そんな50年、60年という長い社会人人生において、語弊を恐れずに言うなら、たかが数十万円だけ平均年収が高いからという理由で選んで、ずっと理系の人間として生きていくというのは辛くないでしょうか。

さらに、一部の大企業を除いて、終身雇用の時代なんて終わっているのです。

ほとんどの若者は転職していく時代です。

数年、十数年で転職するのが当たり前というか、普通のことになるのだろうと思いますし、一部ではすでになっています。

たとえ転職せずに何十年も働いたとしても、おそらく40代、50代、定年間近になってまた職を変えるなんていうことは当たり前なのです。

3. 変化する時代における就職観

そんな状況で、最初の就職のことだけを考えて、自分が大して好きでもない分野に進んでしまうということの大変さをぜひ考えてみてください。

理系の方が就職に強いというのは事実でしょう。

実際に技術職というものがあり、その技術を身につけた人間が就職に強いのは当然です。

しかし、だからといって、文系はみんな就職に失敗して、悲惨で大変な生活を送っているのかというと、そんなことはないというのは多くの先人たちが示しているはずです。

それを全部なかったかのようにして、数十万円の年収、それも個人でばらつきがあるであろう平均年収の差で、自分の人生の方向性を決定づけるということは、果たして皆さんの人生を幸せにする方法なのでしょうか。

一度考えてみることをお勧めします。

私は22歳段階の就職をゴールにするのではなく、その後さまざまな職種を変え、転職をし、自分のキャリアというものを形成していく、そういう人生モデルがこれからどんどん拡大していくのではないかと感じている人間の一人です。

そういった時代において、自分が好きでもない理系の人間として生きていくということを、皆さんはどのように感じるでしょうか。

もちろん、理系分野に興味があり、それが好きだと思う人は理系に進んだ方がいいというのは言うまでもありません。

4. 文系の価値と学習への覚悟

一方で、文系を目指す方には大事なことをお伝えしたいと思います。

確かに文系というのは、手に職を持つような技術職ではないことが一般的です。

それでは、文系で一体何が手に入るのでしょうか。

これは私の経験によるものであり、やはり主観が強いのですが、文系の学問を学ぶことで世の中を眺めるときの視座、視点が手に入ると考えています。

例えば、経済学出身の人であれば、経済学的な観点から世の中を眺めることができます。

法学あるいは政治学を学んだ人は、そういう観点から世の中を眺めることができ、社会学であればそういった社会学の観点からです。

そうした形で、世の中をその視点から眺めるということです。

そして、世の中をその視点で眺めた結果、自分がどこの世界に飛び込んで、どういうことをすれば世の中が良くなるのか、面白くなるのか、あるいは自分が勤めている会社の利益が最大化されるのかといった視座、視点というものを手に入れるのが文系の一番の武器なのではないかと私自身は感じています。

であれば、文系に行くのであれば、やはりレベルが高く、一生懸命勉強して、世の中全体を何らかの形で俯瞰できるようなところまで勉強していく必要があるでしょう。

それが文系の人間の使命の一つと言っていいのかもしれません。

レベルが低いと文系は学んだことを活かせないことが多く、一体何のために学んだのだろうという事態に陥りかねません。

さて、皆さんはこのお話から何を考えて、自分の方向性を決めていくのでしょうか。

 

私もいつも言っていますが、最終的に決めるのは皆さんです。

上で述べた話も、価値観の一つでしかありません。

みなさんが何を大事にしていくのかは、よくよく自分で考えてみてください。

 

私の価値観では、少なくとも22歳の就職の段階をゴールにするのであれば、おそらく23歳時点で後悔するのではないでしょうか。

「やっぱり自分の好きなことをやればよかった」と。

 

最後まで読んでくれてありがとうございました。

応援しています。

 

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進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。