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「中学受験をさせたほうがいいのでしょうか。それとも公立中学に進んで、高校受験をさせたほうがいいのでしょうか」
先日のイベントで、何度も同じご相談をいただきました。
我が子の進む道を決めるのは、親にとって本当に大きな選択です。迷って当然だと思います。今日は、そのご相談に対して私が普段お伝えしていることを、そのままお話しします。
こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。
先日、イオンモール広島祇園で「塾選び・学校選び」の相談会を開催させていただきました。本当に多くの方にご来場いただき、体験のご予約もたくさんいただきました。ありがとうございます。
最初にお断りしておきます。うちの塾は中学受験を取り扱っていません。ですから、これから書くことには「中学受験をしない塾のポジショントーク」が含まれていると受け取っていただいても構いません。
それでも、あえて扱わないと決めているのには理由があります。私は、小学生のこの時期を受験勉強で埋めてしまうには惜しい、と考えているのです。だからMoveでは、中学受験を扱いません。そういう話として読んでいただけたらと思います。
公立か私立か。結論は「その子による」
結論から申し上げます。
公立がいいか、私立がいいか。これはその子によります。
私立中高一貫の6年間には、それなりに良いところがあります。公立中学に進んで高校受験を経験する道にも、多くの子が実感しているように、良いところがあります。メリットとデメリットを並べて、ご家庭で判断していただけたらと思います。
ただ、どちらを選ぶにせよ、共通して大事なことがあります。
今回のご相談の中で、少し気になったことがありました。小学校高学年の遊びを犠牲にして、中学受験に没頭させるべきかどうか。そこで悩んでいるご家庭が、実は多かったのです。
先に私の考えをお伝えします。中学受験はそれで構いません。ですが、この時期の「遊び」も同じくらい大事です。私はそう考えています。
「10歳の壁」とは、何の壁なのか
私がよくお話しすることに、「10歳の壁」「12歳の壁」という言葉があります。小学校高学年に向けて訪れる学力の壁として、教育や子育ての世界で話題になるものです。
では、この壁とは一体、何の壁なのでしょうか。
一言でいうと、「抽象的な思考」への壁です。学問の用語では「形式的な思考」と呼ばれるものです。
小学校の低学年、だいたい10歳くらいまでの子どもは、具体的なものの中で思考します。実際に世の中にあって、触れたり、感じたり、見たりできるもの。その手ざわりの中で頭を働かせます。
それが10歳から12歳ごろにかけて、少しずつ変わってきます。目の前にある具体的なものを頭の中で統合して、抽象的にまとめた形で考えられるようになる。この具体的思考から抽象的思考への転換のところで、壁があったり、なかったりするのです。
抽象的な思考ができるようになると、中学受験の問題にも対応しやすくなるでしょう。ただ、ここには大きな個人差があります。だから急がなくても、そのうちにちゃんと育っていくものだと思っていただきたいのです。
抽象的な思考を支えるのは、その前の「具体的な体験」
ここからが、今日いちばんお伝えしたいところです。
抽象的な思考をしっかり働かせるためには、その前段階の「具体的な体験」がどれだけあるかによって、理解度が変わってくる。そういう学説を読んだことがあります。本で読んだときに、深く納得したのを覚えています。
そして、これは現場での実感とも重なります。
たとえば、子育てを経験された方の中に、旅行に行く前と後で、お子さんが大きく成長していた。そんな経験はありませんか。自分の知らなかった世界を実際に体験することで、その子自身の思考が変化する。これはよくあることです。私も一人の子を高校生まで育てて、そうした場面はよく見てきました。
つまり、小学校の間にどれだけ具体的に、体で、目で、耳で、五感を使っていろんなものを感じてきたか。それがとても大事だという話です。
その経験を土台にして、形式的で抽象的な思考が発達していきます。
だから、今、遊んでいる時間。外に出て、泥だらけになって帰ってくる。そういう時間こそが貴重なのです。学力の中でも、後々の土台になっていく部分があります。それを犠牲にするほどのメリットは、広島の中学受験においてはそれほどないのではないか。それが私の立場です。
しっかり遊んでいてほしい。そして、その中で人間関係や、試行錯誤する力も身につけてほしいと思っています。
とりあえずやってみる。うまくいかなかったら改善してみる。そういう体験を、たくさん積んでほしいのです。
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遊びまくる小学校時代に、ひとつだけ足してほしいもの
学力の面で、皆さんにお伝えしていることがひとつあります。
小学校時代は、語彙力だけつけておいてほしい。
本を読むこと。私どもの「ことばの学校」もそうですが、本を読んで語彙を高め、いろんな文章を理解する。その土台をつくっておく。
この語彙の力が、どれだけ大きいか。ひとつ例をお話しします。
入塾したばかりの、中学1年生の子でした。教科書の文章について、中身の解説は一切せず、そこに使われている言葉の意味だけを全部教えてあげた。ただそれだけで、それまで60点台だった子が、80点の後半を取ったのです。
結局のところ、文章が読めないのではなく、言葉がわからなかっただけ。これは中学生の子に、実はかなり多い話だと感じています。
だからこそ、小学校時代に語彙の土台さえ整えておけば、あとは思いきり遊びまくっていてほしいのです。それをやってくれていれば、中学生になってからの体制で、学力はいくらでも伸ばしていくことができます。
もちろん、中学受験を頑張っている子がダメだという話ではありません。
ただ、公立中学に進むとき、小学校高学年に築いた土台がとても大事になってくる。その一点だけは、ぜひ皆さんに共有させていただきたくて、今日はお話ししました。
夏休みも、もうすぐ始まります。だから、今は思いきり遊ばせてあげてください。
進学空間Move塾長
宮脇慎也(Shinya Miyawaki)
27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。
8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。
その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。
1977年生。射手座。B型。
家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。
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