「うちの子、中学受験させないといけないのかな…」──そんな焦りを感じたことはありませんか。
XなどのSNSを開けば、受験情報や合格報告のポストが次々と流れてきます。見ているうちに、まるで受験するのが当たり前の世の中のように錯覚してしまう。そういった感覚、きっと多くの方が持っているのではないでしょうか。
でも、実際の数字はどうなのでしょうか。今日は「本当のデータ」をお伝えして、少し落ち着いて考えるきっかけにしていただければと思います。
こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。先日、中学受験に関する数字がかなり実態とずれた形で流れているのを目にしました。これは正確な情報をちゃんとお届けしなければ、と思い、今日は筆を取った次第です。
SNSが生む誤解と、本当の数字
首都圏や関西圏を中心に、私立中学入試は確かに盛んです。そうした地域に住む方々の熱量高い発信がSNSに溢れていて、まるで中学受験が「当然のこと」であるかのような印象を受けてしまう方も少なくないでしょう。
でも、「多そうに見える」と「実際に多い」は、別の話です。
令和6年のデータを確認してみましょう。
- 全国の中学校在学者数:3,141,132人
- 私立中学校在学者数:247,982人
割合にすると、7.9%。10人に1人もいないのです。さらに、国立中学(広島で言えば広大附属のような国立大学附属中学)に通っている生徒が0.9%います。私立と国立を合わせても約9%──それでも10人に1人には届かない。
つまり、日本全国の91%の子どもは普通の公立中学に通っているのです。
ネット上では「中学受験をしないと幸せになれない」とか「難関大学を目指すのが難しくなる」といった主張をちらほら見かけます。でも、91%の人は公立中学を経由して、それぞれの人生を歩んでいます。その人たちが全員不幸かというと、そんなわけがない。
実は私は時折、東京方面にお住まいの方からご相談を受けることがあります。「中学受験をしないと、まともな人生が送れないんじゃないでしょうか」と、本当に切実な声で語られる方もいます。その言葉の重さはよくわかります。でも、世の中の91%の方はそのルートを通っていないのです。それでもちゃんと幸せに生きていますよ、とお伝えしたくなってしまいます。
地域差はある──広島は全国6位
とはいえ、地域によって数字は大きく異なります。都道府県別に並べると、こうなっています。
| 都道府県 | 全体(人) | 私立(人) | 私立に通う割合(%) |
|---|---|---|---|
| 全国 | 3,141,132 | 247,982 | 7.9 |
| 東京 | 313,944 | 82,697 | 26.3 |
| 高知 | 15,763 | 2,916 | 18.5 |
| 京都 | 62,680 | 8,854 | 14.1 |
| 奈良 | 33,583 | 4,397 | 13.1 |
| 神奈川 | 221,631 | 25,125 | 11.3 |
| 広島 | 74,356 | 7,676 | 10.3 |
| 大阪 | 214,779 | 21,644 | 10.1 |
| 和歌山 | 22,613 | 2,118 | 9.4 |
| 兵庫 | 139,347 | 12,149 | 8.7 |
| 千葉 | 153,809 | 10,683 | 7.0 |
広島県は全国6位で10.3%。確かに比較的盛んな地域ではあります。
ただ面白いのは、福岡や名古屋といった広島よりも規模の大きい都市がこのランキングに入っていないことです。
「都会だから受験が多い」というわけでもないことがわかります。また、高知県が意外と高いのは、田舎であるがゆえに教育への危機感を持つ保護者が多く、学力向上への意識が高いという独特の背景があるようです。
関東・関西が高めなのは事実ですが、それでも全国平均は7.9%。この数字は揺らぎません。
この数字、広島にお住まいの保護者の方にはどう映りましたか?
公立中学でも、力は十分につく
Moveの生徒たちを見ていると、つくづく思うのです。公立中学でも力がつく生徒は、本当にたくさんいる、と。これは14年間の現場で積み上げてきた実感です。
もちろん、最終的に東大・京大といった最難関を目指すのであれば、私立トップ校でトップにいる方が確率は高いでしょう。でも、そうでないところ──つまりトップ校以外の私立中学と比べると、公立中学から公立高校へ進んだ生徒たちも全然引けをとりません。むしろ公立高校の方が進学実績が高いというケースも多いのです。
実際、Moveでは6年連続で中3生の平均偏差値60超を維持してきましたが、その生徒たちは全員、公立中学出身です。だから自信を持って言えます。公立の道でも、力はちゃんとつくのです。
それに加えて、私立中学に入ってからいわゆる「深海魚」になってしまう子に出会うことも少なくありません。私立に入ったからといって安泰とは限らない現実も、確かにあるのです。
お子さんの適性や家庭の方針によって、中学受験が良い選択肢になることはもちろんあります。それを否定するつもりは全くありません。ただ、「受験しないと将来が不安」という切羽詰まった感覚を、少なくとも広島で抱える必要性はあまりないのではないか──それが、この数字を見た私の率直な思いです。
どんな選択をされるにしても、お子さんの今の笑顔と10年後の姿を一緒に想像しながら決めていただきたい。そのお手伝いができることを、Moveはいつも願っています。
進学空間Move塾長
宮脇慎也(Shinya Miyawaki)
27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。
8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。
その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。
1977年生。射手座。B型。
家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。


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