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がんばる経験

Moveを立ち上げた頃

Moveはもうすぐ10周年。

ありがたいことに11年目に向けて廃業する予定もありません。

比較的安定的に成長をさせてもらってきました。

(その割には小さい塾のままですけどね)

 

一つの事業が10年続く確率は、確か4%もなかったと記憶していますが、

(小規模事業が乱立したコロナ前では1%以下という衝撃の数字も耳にしました)

どうやらなんとか到達しそうです。

 

 

そんなMoveですが、

立ち上げてから最初の2年間は、実は1日も仕事を休んだことはなかったです。

土日はもちろんのこと、正月もゴールデンウィークも、お盆もです。

 

立ち上げた当初、

生徒が少なくて授業がなかった日であっても、

何かしらの仕事はしていました。

 

 

 

それは、ある先輩経営者からこんなアドバイスがあったからです。

 

 

「事業を立ち上げて、まだ軌道に乗っていない人間が休むなんてありえない。

1日休んだら、事業を軌道に乗せるのが1日遅れるだけ。

『休むことは大切』とかもっともらしいことを言っても、

事業が軌道に乗っていないのに1日休んだら、1日早く廃業に近づくだけ。

そんなの分かりきったことじゃん。

それでも、みんな休むんだよ。

『死ぬ気でがんばります』とか言いながら

正月だとか、盆だとか、GWだとかにしっかり休むんだよ。

夢をもって自分の事業を立ち上げたんでしょ?

休むのは休める状況を作ってからにしなさい」

 

 

そんな言葉を間に受けて、新米経営者であった私は、

立ち上げから2年間、1日も休みは設けなかったのです。

 

それこそ日曜日も、盆も、正月も。

(半日休むとかはありましたけどね)

 

そのかいあってか、

10年経った今は時折お休みをいただきながら、

塾を運営させてもらっています。

 

 

 

がんばる経験

 

そんな私の「休まなかった自慢」ですが、

もちろん上には上がいるし、

もっと優秀な経営者の方なんて山のようにいらっしゃることでしょう。

 

2年間1日も休まず自分を追い込まないと事業が維持できないなんて、

なんて無能だというご意見もあると思います。

(自分でもそう思います)

 

 

ただ、

私としてはその頃に1日も休まず頑張れたというのは、

事実としてあるわけです。

 

 

 

なぜそんなことができたのでしょう?

 

 

一つには、それだけ危機感があったし、

資金的にもかなり厳しい状況だったからやるしかなかった、というのはありました。

要するに、それだけ追い込まれていたということですね。

 

もう一つは、

これが今日の本題なのですが

過去に何度か同じような状況を経験していたから、

ということが挙げられます。

 

つまり、

Moveを立ち上げるその前までに

日曜日や祝日、連休を潰して勉強や仕事に没頭し続ける成功体験を持っていたのです。

 

 

浪人生をしているときは、春に予備校に入学してからセンター試験までに完全に休んだ日は3日しかありません。それ以外は基本1日10時間の勉強を続けていました。

大学院の時には、毎日研究室にこもってずっとドイツ語や英語論文を翻訳していました。大学に泊まって、下宿先にはシャワーだけ浴びに帰るとか。

社会人になっても、最初に勤めた塾は(今で言うところの)ブラック企業であり、週に70時間や80時間の勤務は当たり前でそこで歯を食いしばって勤めていました。(特に恨んでもいません。拾ってもらって感謝しています。退社したのは別の理由でした)

 

 

そうした経験の中で

自分がどういう状態でどういう環境を準備すれば頑張れるかは

ある程度把握しているつもりです。

 

Moveを立ち上げた時に、

このレベルでがんばることが初めてであれば、

きっと今ごろMoveは廃業してしまっていたでしょう。

 

私個人の経験からで恐縮ですが、

頑張ろうと思った時に、

過去の成功体験から「がんばり方」を知っているのは

いざと言うときに自分を助けてくれます。

 

 

 

一方で、

冬期講習が今日で終わりますが、中学3年生たちは大晦日も元日も関係なく頑張ってくれました。

 

Moveではこの二週間の間に110時間以上の勉強時間が課せられていました。

大晦日や元日を入れて、毎日1日7時間ペースで頑張らないとクリアできない数字です。

(1日8時間頑張れば、1日か2日の休みが作れます)

 

中学生の体力や生活習慣から考えれば、この辺りが設定としてはギリギリでしょう。

それ以上の時間が頑張っていた子ももちろんいます。

 

 

保護者の方には、きっと色々と思うところがあったことでしょう。

 

こんなに頑張りすぎて、体調を崩してしまったらどうしよう?、とか。

 

あるいは、逆に

塾では勉強しているのだろうけど、家で全然勉強する姿を見せていない。

家でもやらせなくちゃ、とか。

 

 

そのどちらも無用な心配だったと思います。

 

今、彼らは15歳となり親からもある程度自立した存在として

「自分の意思で本気でがんばる」ということに挑戦しています。

 

こんなに頑張るのは初めてだという子もいるでしょう。

 

 

その中で自分で考えて、自分で動くことが大事です。

 

 

本当に無理だと思ったら自分で休憩するでしょうし、

もっとやらなくちゃと思うのなら自分でやるでしょう。

 

どうかその判断は彼らに任せて、

親御さんは彼らのサポートに徹してもらえたら嬉しいです。

(よほどまずいと思ったら僕が止めます)

 

 

「頑張りすぎて体壊したら元も子もないから、休みなさい」とか

逆に「もっと頑張りなさい」なんて言わずに、

彼らが自分の意思で「がんばる経験」を積んでいる姿を

暖かい目で見守ってくださればと思います。

 

 

それが、長い目で見た時に彼らの財産になるのですから。

 

 

この冬期講習、暖かく見守ってくださった全ての保護者の方達に、心から感謝申し上げます。

 

広島県公立高校入試まであと1ヶ月と3週間。

生徒たちと伴走していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。