目次
1. 驚愕の正答率データが示す現実
こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。
昨日の続きという形で、令和7年広島県立高校入試数学の正答率について詳しくお話ししたいと思います。
統計データが発表され、数学の難易度について分析を進めてきましたが、私たち塾の指導者にとって驚くような結果が明らかになりました。
まず何よりも数学の平均点が20点を切ったと言う驚きの事実です。50点満点の試験であれば、平均点が19点台と言うのは、100点満点換算であれば30点台ということです。
では、それほどの難問だったのか、ここで簡単に確認したいと思います。
今日は前半の大問1から大問3までを確認します。
というのも、後半の大問5や大問6での正答率が低かった問題は、この6月の時点ではまだ中3生には解けない範囲の問題が入ってますので、また別の時にお話ししたいと思います。
今日はここまでで習った内容で解ける大問3までのお話をします。
特に正答率が低かった問題を見ると、大問1の(4)が42.4%、大問1の(6)が16.1%、大問2の(1)が5.9%、大問2の(2)が16.6%、そして大問3が6.3%という結果でした。
これらの数値は、受験生がどこで躓いているのかを如実に示しています。
実際に問題を見た段階である程度は予想していたものの、これほど多くの受験生が間違えるとは思いませんでした。
特に大問1の(4)と(6)については、基礎的な内容にも関わらず、このような結果となったことは我々指導者も深く反省すべき点です。
<令和7年度数学の正答率表>

2. 大問1で見えた基礎力不足の深刻さ
正答率42.4%の問題

正答率16.1%の問題

まず大問1の(4)について詳しく見てみましょう。
この問題は方程式「x² + 16x = 0」を解くという因数分解の基本問題でした。解法自体は複雑な公式を使うわけでもなく、単純にxの共通因数をくくって答えを出すだけです。
それにも関わらず正答率が42.4%ということは、半分以上の受験生が基本的な因数分解でつまずいているということになります。
続いて大問1の(6)ですが、これは反比例のグラフに関する問題で、正答率はわずか16.1%でした。
この問題では、aを負の数とした時の関数y = a/xについて正しい記述を選ぶ必要がありました。おそらく多くの受験生が、反比例のグラフでaがマイナスの場合にどのような形になるかを理解していなかったのでしょう。
さらに根本的な問題として、試験中にグラフを書いて確認する習慣が身についていないことが考えられます。
グラフを実際に書いて形を確認しながら選択肢を検討していけば、正解に辿り着けたはずです。
そんなに難しい問題ではありません。
3. 思考力を問う良問への対応力不足
正答率5.9%の問題

正答率6.3%の問題

大問2の(1)は正答率5.9%とやはり低い結果でしたが、これは良い問題だったと評価しています。
この問題では「(45^2-n^2)/7」が自然数となるようなnの値を求める必要がありました。
因数分解を用いて「(45+n)×(45-n)/7」の形に変形すれば解法の糸口が見えてきます。45-nの方から例えば38を選ぶと約分できそうに思えますが、実際には45+nの方で7の倍数を作る必要があります。
自然数という条件を考慮すると、nは45より小さくなければならず、この条件の下で45+nが7の倍数になるようなnを求めると39という答えが導かれます。
大問3については正答率6.3%でしたが、これは連立方程式の問題でした。
問題文の設定自体も割合を絡めた問題であり、多くの受験生が苦手とするところで、さらには計算で扱う数字が数十万単位と大きく、処理がかなり困難だったと思われます。
この正答率の低さは理解できる範囲ではありますが、やはり寂しい結果です。
4. 今後の指導で重視すべき「考える力」の育成
今回紹介した正答率の低い問題に共通するポイントは、問題文の意図に沿って論理的に考える力が不足していることです。
単純な計算問題や形式的に決まった解法がある問題ではなく、これまでと少し異なる角度から出題された問題に対して、多くの受験生が対応できていませんでした。
これは決して解けない問題ではなく、しっかりと考えて取り組めば解答に辿り着ける問題ばかりです。
この結果を受けて、現在の中学3年生をはじめとする受験生の皆さんには、暗記や型にはまった解法だけでなく、問題の本質を理解し考える力を養うことが重要だと痛感しました。
進学空間Moveでは、生徒が「考える」ということにフォーカスしながら、しっかりと実力を鍛え上げていきたいと考えています。
入試で確実に得点を取るためには、特に前半の基礎的な問題を確実に解ける力を身につけることが何より大切です。
今回の分析が、受験生の皆さんや保護者の方々の参考になれば幸いです。
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進学空間Move塾長
宮脇慎也(Shinya Miyawaki)
27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。
8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。
その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。
1977年生。射手座。B型。
家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。
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