教科書は厚い方がいい──有意味学習と機械的学習から見える、本当に成績が上がる勉強法

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定期テストの範囲が狭いと、思わず「やった!」と感じてしまいますよね。覚える量が少ないほうが楽だし、点も取りやすいはず──そう考えるのも無理はありません。でも実は、「情報が少ないほうが覚えやすい」というのは、必ずしも正しくないんです。

こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。

今日は、教育心理学の視点から「本当に成績が上がる勉強法」についてお話しします。

キーワードは「有意味学習」と「機械的学習」。

この2つの違いを知ると、お子さんの勉強の仕方が見違えるように変わるかもしれません。

丸暗記では、当然のことながら忘れてしまう

教育心理学の世界に、オースベルという研究者が提唱した概念があります。それが「有意味学習」と「機械的学習」です。

機械的学習というのは、学習内容の意味を理解せず、ひたすら丸暗記しようとする学習法のこと。確かに、この方法なら情報が少ないほうが覚えやすいかもしれません。

でも、ここに大きな落とし穴があります。丸暗記で覚えたことは、当然のことながら忘れてしまうんです。

一方、有意味学習というのは、学習内容に意味を持たせて理解を深める学習法です。

この場合、内容を理解するための付加的な情報が必要になりますから、むしろ情報は多いほうがいい。

つまり、教科書は厚いほうがいい、というわけなんです。

偏西風を「意味」で覚える

具体例を見てみましょう。中学校の理科で「偏西風」という言葉を覚えるとします。

「日本列島は中緯度帯に位置し、中緯度帯の上空には西から東に向かって偏西風が吹いている」という文言を、そのまま丸暗記したとしましょう。

そうすると、そりゃあ、こんな文章はすぐ忘れてしまうでしょう。

そこで、偏西風と日常的な現象を結びつけてみるんです。

例えば、「日米間の飛行機の往復では、偏西風が追い風になる往路よりも向かい風になる復路のほうが時間がかかる」とか、「中国内陸部の砂漠で巻き上げられた黄砂が、偏西風に乗ってやってくる」といった知識と結びつける。

こうすることで、地上の私たちには実感しにくい偏西風の存在が、ぐっと意味を持つようになります。

意味理解が伴うと記憶しやすくなりますし、たとえ一度忘れても、黄砂のニュースなどが手がかりになって思い出すことも容易になるんです。

これは、覚える量を増やすことで覚えやすくしている、というわけです。こういう結びつきを知ると、例えば理科が急に面白くなったりします。

歴史の流れの中に位置づける

歴史の学習でも同じことが言えます。

ある研究では、大学生を対象に「班田収授法」「三世一身法」「墾田永年私財法」「荘園の成立」を年代の古い順に並べさせる問題を出しました。

正答できなかった人は、各歴史事象の年代を語呂合わせで覚えていたのに対して、正答できた人は、「公地公民の古代土地制度の規制が徐々に緩和されていって、最終的に荘園が成立した」という歴史の流れの中に個々の事象を位置づけて学習していたといいます。

語呂合わせで覚えていた人たちは、大学生になって受験から日が経ったので、その語呂合わせ自体も忘れてしまったんでしょう。

例えば、ルート2を「一夜一夜に人見頃」と覚えたとしても、それ自体が大きな意味を持つとは言えません。

それに対して、歴史の流れの中で各事象を位置づけることは、各事象に大きな意味をもたらします。このことが、長く覚えられていた理由だと考えられるんです。

Moveでの実践──知識を構造化する

Moveでも、こうした知識の構造化を意識した指導を心がけています。

個々の知識をバラバラに覚えるのではなく、知識同士を結びつけて、意味を持たせる。そうすることで、覚えやすく、忘れにくく、そして思い出しやすくなるんです。

実際、Moveで勉強している生徒たちを見ていると、意味を理解して覚えている子は、たとえ一度忘れても、関連する情報から思い出すことができます。一方、丸暗記に頼っている子は、一度忘れると、もう思い出せない。

この違いは、本当に大きい。

もちろん、これは簡単なことではありません。意味を理解するためには、それだけ時間もかかります。でも、何度も繰り返し覚え直す面倒くささを考えれば、最初にしっかりと意味を理解して覚えたほうが、結果的には効率的でしょう。

だからこそ、Moveでは中学生の授業に週に1回は一斉授業を組み込んでいます。一人で黙々と問題を解くだけでは、この「意味づけ」がなかなかできない。だからこそ、一斉授業で知識同士のつながりや背景を伝え、理解の土台を作っているのです。

定期テスト対策の落とし穴

よく見かけるのが、定期テストの過去問をひたすら繰り返し解かせて、答えを覚えるだけという学習法です。これも、ある意味では機械的学習と言えます。

確かに、その定期テストでは点が取れるかもしれません。でも、それは本当の学力がついているわけではないのです。

Moveでは、1回目は調べたり質問したりしながらしっかりと勉強し、2回目、3回目と繰り返していく方法を推奨しています。

もちろん繰り返す時間を考えると膨大な時間が必要になります。でも、その過程で意味を理解していくことで、本当の学力がついていく。

保護者の方には、お子さんが「覚える量が少ないほうがいい」と思っているようであれば、それは丸暗記に頼っている可能性があることを知っておいていただけたらと思います。

もし丸暗記に頼っているようなら、「それって他の何と関係ある?」と問いかけてみてください。

 

意味を理解して覚えること。それが、本当に成績が上がる勉強法です。


進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。