「分かっているつもり」の正体──誤概念という名の落とし穴

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「うちの子、分かっていると自信満々に言うのにテストで得点が上がらないのです…」

そんな悔しさ、ありませんか?実は、その背景には「誤概念」という見えにくい壁があるかもしれません。今日は、子どもたちが無意識に抱えている"間違った理解"の正体と、どう向き合えばいいのかをお話しします。

こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。

保護者面談でよく聞く言葉があります。「うちの子は分かっていると本人は言うのに、テストで間違えるんです」──自分では自信があるのに、なぜテストで間違えるのか。

その背景に「誤概念」があることが多いのです。

日常経験が生み出す"確信ある間違い"

誤概念とは、子どもが日常の経験から作り出してしまった誤った知識のことです。学校で学ぶ正しい知識と矛盾しているのに、本人はそれが正しいと確信しています。

例えば、小学校2年生で三角形を学ぶとき、「3本の直線で囲まれている形」が定義ですよね。ところが、頂点が下にあったり、辺の長さが等しくなかったりすると「三角形ではない」と言う子がいるのです。つまり、正三角形のような標準的な形だけが三角形だと思い込んでいる。

これは、日常で見る三角形が正三角形に近い形ばかりだった経験から生まれた誤概念です。教科書の最初のページに載っている「きれいな三角形」が、子どもの中で「三角形のすべて」になってしまっているのですね。

中学生の理科でも同じことが起きます。「電気を使うと電流は消費される」という誤解です。発電所と電気製品のつながりを問うと、「発電所から一方向に電気が送られる」と答える子が少なくありません。これは、ガソリンを入れるように電気も消費されるという「注入モデル」の誤概念なのです。

実際には、電流は往復しています。でも、日常の「使うと減る」という経験が、この誤概念を強固に作り出してしまうのです。

偏差値60でも抱える誤概念

先日、ある中学3年生の子が、少し恥ずかしそうに言いました。

「先生、理科で習ったのですけれど、太陽って地球よりも109倍大きいらしいんです。私、ずっと太陽の方が小さいと思っていました」

聞いている周りの子たちもびっくりした顔をしていました。そんな勘違いをしていただなんて。

とは言え、単元によっては、大人がびっくりするような基礎知識が欠けている子もいるのが実情です。本人の名誉のためにも言うと、この子、模擬試験の偏差値で60を超えるような子です。そんな子でもこうした誤概念を持っている。成績が良い子でも、意外なところに「分かっていないこと」が潜んでいるものなのです。

Moveでは、ほかにもこんなことがありました。ある中1の生徒が、理科の「塩が水に溶ける」という単元で「塩は消えてなくなる」と答えていたのです。

「え、でも見えないですよ?」と彼は言いました。見た目には確かに消えたように見えますからね。でも実際には、塩は水の中に存在し続けています。

この生徒は、日常の「見えなくなる=なくなる」という経験から、この誤概念を持っていました。コップの中の塩が目に見えなくなったら、それは「消滅した」と解釈してしまったのです。

こうした誤概念は、子どもたちの日常の中で自然に生まれます。そして、本人は確信を持っているからこそ、修正が難しいのです。

なぜ誤概念は修正しにくいのか

誤概念は修正が難しい。理由は2つあります。

1つ目は、確信が高いことです。自分の経験に基づいているため、「これが正しい」と心から信じ込んでいます。だから、先生が「違うよ」と言っても、なかなか納得できないのですね。

2つ目は、一度修正しても元に戻りやすいことです。正しい知識を教えても、しばらくすると元の誤概念に戻ってしまうことがある。これは本当に厄介です。

誤概念との向き合い方

ここで大事なのは、どう向き合うかです。

まず、誤概念の存在を認めることです。「分かっているはずなのに間違える」の背景に、誤概念がある可能性を考えてみてください。子どもを責めるのではなく、「ああ、そういう理解をしていたのか」と受け止めることから始まります。

次に、なぜその考えが間違っているのかを、納得できる形で説明することです。単に「違う」と否定するのではなく、なぜ間違っているのかを理解させることが大切なのです。

Moveでも、誤概念を発見したときは、すぐに正しい知識を教えるのではなく、まず「なぜそう思うのか」を聞きます。その上で、なぜその考えが成り立たないのかを、具体例を使って説明していきます。子ども自身に矛盾に気づいてもらう。それが一番効果的なのです。

「分かっているつもり」を超えて

「分かっているつもり」の背景には、誤概念があることが多い。誤概念は確かに修正しにくいですが、正しいアプローチで向き合えば、必ず修正できます。

お子さんが「分かっているはずなのに間違える」と感じたら、誤概念の可能性を考えてみてください。そして、なぜその考えが間違っているのかを、納得できる形で説明してあげてください。

大切なのは、子どもの理解のプロセスに寄り添うこと。頭ごなしに否定するのではなく、一緒に考えていく姿勢です。お子さんの「え、そうなの?」という発見を、一緒に喜んであげてください。

それが、本当の学びだと思うのです。


進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。