早く進路を決めなくていい子もいる|Move塾長が考える個別設計

「将来の方向性は早く決めた方が有利」という話、最近このブログで何度かしてきました。でも、すべての子にそれが当てはまるわけではありません。今日は、そんな「例外」のお話です。

こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。

早い進路決定がすべてではない

ここ何回かのブログで、早い段階から将来の方向性を決めることのメリットをお伝えしてきました。受験制度を有利に使える、勉強の戦略が立てやすい、選べる選択肢が広がる。どれも本当のことですし、ぜひ実践してほしいと思っているのも確かです。

ただ、何が何でも早く進路を決めなければいけないかというと、そうでもないパターンが確実にあります。

特に「自分の好きなことを徹底的に追求したい」というマインドを持っている子に対しては、将来それが何に使えるかよりも、まずは今やりたいことに集中させてあげることが大事だと、私は考えています。何かに夢中になると止まらない、いわゆる展開型の子には特にこの考え方が合うと思っています。実際に、そう感じた生徒たちがいました。

「好き」が力になった子どもたちの話

以前、高校生になってから「数学が面白くて仕方がない」という生徒がいました。「この数学を突き詰めていくとどうなるかはわからないし、進学先もよくわからないけど、とにかく今はこれをやりたいんだ」という子でした。

そういう子に対して、「数学をやるのはいいけど、それがどう使えるかを考えなさい」「ちゃんと自分の道を決めなさい」とは、私は言わないのです。好きという感情の赴くままにどんどん進んでいったらいい。その追求の先に、選択肢はいくらでも見つかるだろうという確信があるからです。案の定、そこは数学がどんどん伸びていって、広島大学の理学部に合格していきました。

また、こんな子もいました。中学3年生のとき、高校受験そっちのけで「相対性理論をちゃんと理解したい」と言い出した生徒がいたのです。当時、その子の数学が特別得意だったかというと、実はそうでもありませんでした。

塾の先生として、「受験の勉強をしてほしい」という気持ちが全くなかったかといえば、嘘になります。正直、あの時どうしようかと思ったのは確かです。でも、中学生がなかなか興味を持たないような分野に自ら飛び込んでいくモチベーションを、私には止めることができませんでした。どんどんやってもらった結果、高校受験で役に立ったというより、高校に入ってからその子の数学は見違えるほど伸びました。

もう一人、印象的な例があります。9月にアメリカの大学に進学することになったMoveの先生です。彼は中学3年生のとき、量子力学に強い興味を持っていました。

それが高校でさまざまなことを学んでいくうちに、より根源的な問いへと向かっていきました。量子力学の背後にある「存在とは何か」「世界はどう成り立っているのか」という問いが、やがて哲学の扉を開いたのです。そしてその分野でアメリカの大学院へ進むことになりました。中学3年生の「なんかわからないけど気になる」が、海外留学というかたちに結実した。「好き」の力というのは、本当に長い射程を持っていると感じます。

この3人に、共通する場面があります。面談で「そのやりたいこと、やっていいよ」と伝えた瞬間の顔です。ほっとしたような、嬉しそうな、あの表情。3人ともそうでした。そしてその後、好きをより追求しようとするスピードが目に見えて上がっていきました。背中を押してもらえた、ということが、エンジンをさらに加速させるのでしょうね。

その顔を見てしまうと、「学校の成績のために」という縛りをかけることが、いかに逆効果か、ということを感じずにはいられません。

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ラブベースのモチベーションという考え方

義務感で勉強している子と、好きで勉強している子。同じ時間、同じ量をやっていても、1年後の伸び方はやはり全然違うのです。

私が最近よく言う「ラブベースのモチベーション」という言葉があります。内発的動機付けとも呼ばれますが、まあ要するに「自分の好きに従って動く」ということです。

これは、モチベーションのあり方としては最高級だと思っています。受験上のメリットがどうとか、将来の選択肢がどうとか、そういった話をする以前の段階で、本人がすでにエンジンを全開にしているわけですから。削いでしまうのは、もったいないと思うのです。 

受験が心配でも、「好き」を認めてあげてほしい

こういう話をすると、現実的に受験のことを心配される方もいらっしゃると思います。実は私自身も、ハラハラドキドキしながら見守っているところがあります。

ただ、何人も見てきて思うのは、だいたいうまくいくんですよね。大人がいいか悪いかを判断してしまうと、その瞬間に子どもの可能性に蓋をしてしまうんです。受験のためにも、本人の好きを認めてあげることは、実はとても大事なのです。

これは塾によって考え方が違うところかもしれません。でも私は、その子の好きを把握せずして、勉強のデザインはできないと思っています。まずそれを認めてあげること。その上で、一緒に勉強のデザインを考えていくこと。その子の能力を一番伸ばせるのは、そういう関わり方なのだろうと、今も感じています。

お子さんに、今夢中になっていることはありますか?それがあるなら、それでいいのです。


進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。

 

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