AI時代になぜ勉強するのか|高校生7人と出した一つの答え

「これだけAIが賢くなったら、勉強する意味なんてあるんでしょうか」

もし子どもにそう聞かれたら、皆さんはどう答えるでしょうか。実はこれ、大人でもすぐには答えに窮する、なかなか手ごわい問いです。今日は、その問いをMoveの高校生たちと一緒に正面から考えてみた、ある日の出来事をお話しします。

こんにちは。進学空間Moveの宮脇です。

この週末、文化祭があった高校が多かったようで、今日が振替休日という高校生が何人もいました。Moveには午前中から生徒が集まっていて、午後3時ごろには7、8人の高校生が顔をそろえていたのです。せっかくこれだけ集まったのだからと、私は最近のAIをめぐる話を彼らに振ってみました。そこから、思いがけず深い議論が始まったのです。

7年後の社会を、彼らはどう生きるのか

きっかけは、私が最近のAIに触れて本当に驚いたという話でした。生成AIが世に出てきたのが2023年ごろ。それからたった3年で、ここまで来ています。文章を書くのも、調べ物をするのも、もはや人間が追いつかないほどの速さと精度です。さらに最近では、自分でプログラミングを行い、新しい成果物までAIが作ってくれるようになってきました。

そうなると、最近まことしやかに語られている不安も現実味を帯びてきます。海の向こうでは、AIに仕事を奪われて思うように職に就けない若者が増えている、という話も聞こえてきます。

考えてみてください。今の高校生が社会に出るのは、5年後、6年後、7年後です。たった3年でここまで変わったのに、あと7年たったら世の中がどうなっているか、もう想像もつきません。そんな先の読めない時代に、僕たちはいったい何を考えながら勉強すればいいのか。これは大人でも簡単には答えられない問いですよね。だからこそ、7、8人の高校生に、この答えのない問いをぶつけてみたのです。

「0から1を作れる人間」になるために

議論はすぐにまとまったわけではありません。あれこれと意見が行き交い、行きつ戻りつしながら、彼らがたどり着いた一つの答えがありました。「これからは、発想力を持つ人材が必要なんじゃないか」というものです。

AIというのは、基本的に世の中にすでにあるものを膨大に学び、それを組み合わせて「それっぽいこと」を返してくれる仕組みです。とても優秀ですが、今この世にまだ存在しないものをゼロから生み出すことは、まだ簡単ではないはずです。作業そのものはAIが肩代わりしてくれるかもしれない。けれど、その「何を作るか」という発想は、やはり人間がしなくてはならない。生徒たちは「0から1を作る」という言葉を使っていました。0を1にできる人間になることが必要で、そのためにこそ勉強がいるのではないか、というわけです。

こんな意見も出ました。「AIは世の中のあらゆることに広く詳しいけれど、自分は何か一つ専門性を身につけて、そこから生まれてくるもので、AIのさらにその次を生み出せる存在になりたい」と。広く浅くではAIに勝てない。だからこそ自分の専門を極めることが大切なのだ、と語ってくれた子がいたのです。なるほど、と私も感心しました。

もちろん、これらは、数ある答えのうちの一つ二つに過ぎません。AI時代を生き抜く道は、他にもいくつも考えられるでしょう。それでもこの日、彼ら自身の言葉から「発想できる人間、0から1を作れる人間になるために勉強する」という合意が生まれたことが、私にはとても嬉しかったのです。

自分でたどり着いた答えは、やる気に変わる

正直なところ、この議論は30分以上かかりました。貴重な休日を使って勉強しに来た高校生の、その勉強時間を私が奪ってしまったとも言えるかもしれません。

それでも、こういう話を要所要所できちんとしておくことには、大きな意味があると思っています。自分が勉強する意味を彼ら自身が考え、そして自分たちでたどり着いた答えがある。その答えは、誰かに与えられたものよりずっと強く、やる気につながっていきます。普段から自分のペースで考える生徒たちだからこそ、こうした問いにも自分の言葉で応えてくれたのでしょう。結果的に好循環が生まれる、本当に良い議論だったと感じています。

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結局のところ、問いを立て続け、考え続けることなのだと思います。今の現状を理解し、これから何が必要になるのかを見据えていく。歴史を知り、現状を見つめ、その先の未来を描く。そういう子が本当に求められる時代です。口で言うほど簡単ではありませんが、常に考え続ける癖が、こういう何気ない議論の場から育っていってくれたら、これほど嬉しいことはありません。

今日はそんな会話があったことをお伝えしたくて、筆を置きます。ありがとうございました。


進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、キャリア教育と学習の融合を目指す。また、同時に保護者の方向けコミュニティー「Happy Education Lab.」を主催する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。

 

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