安古市高校2年連続定員割れの原因考察②

安古市高校が定員割れした件について

前の記事の続きで、安古市高校の定員割れについての原因考察その2です。

 

 

考えられる4つの原因のうち、③と④についてお話ししますね。

 

考察③: 文化祭の中止

 

安古市が定員割れを起こした令和2年と令和3年は、コロナの影響によって2年連続で文化祭が中止になった年でもあります。

 

安古市高校の文化祭は、毎年大盛り上がりするビッグイベント。

 

高校3年生は全クラス演劇に挑戦し、オリジナル演劇を本気で練習します。

 

Moveの生徒がヒロインを演じることもあり、私もそのたびに呼ばれ拝見させてもらいました。

 

いずれもハイレベルな演劇でした。

 

一緒に観覧した保護者の方がその演技を見て、我が子の成長に涙するシーンにも立ち会いました。

 

僕も釣られて涙を流したことがあります。

 

何れにせよ地域の一大イベントなのです、安古市の文化祭は。

 

 

そして、その盛り上がりは時の中3生をも感化します。

 

つまり、この文化祭を見て、安古市高校への進学を決める子が相当数いるのです。

 

その文化祭が2年連続で中止になった年に、安古市高校が定員割れをする。

 

 

これは安古市高校にとっては不幸としか言いようがありません。

 

最大の魅力をアピールする場がなくなったのですから。

 

 

 

そして、令和4年の今年はその文化祭が復活しました。

 

うちの生徒の感想を聞いてみても、なかなかに盛り上がったようです。

 

 

これで安古市の人気が復活すると予想されますが、

実際どうでしょうか?

 

楽しみに注視したいと思います。

 

 

考察④: 国公立大学重視の進路指導

 

これは行き過ぎなければ決して批判することでもないと思っているのですが、それを踏まえて。

 

 

安古市高校の進路指導は明らかな国公立重視。

 

なるべく現役で国公立大学に合格することを「是」としている高校です。

 

地方の進学校にありがちな「国公立至上主義」の典型例だと言えるでしょう。

 

 

何度も言いますが、これ自体は悪いことではないです。

 

単にそういう役割を担った高校だということです。

 

 

ですから、広島大学や愛媛大、山口大学、さらには広島県立大等に進学したい人にとっては安古市高校はいい高校です。

 

文化祭も盛り上がるし、生徒も比較的自由に行動できて明るい。

 

過去の記憶を辿ってみても、安古市高校に進学した生徒で学校生活がつまらないと言った生徒は比較的少ないです。

(課題が大変なのはどこの進学校も一緒です。そういう世界だと思ってください)

 

 

ですが、時に私立大学志望の生徒にも、国公立大進学を強要するような進路指導が行われる時があります。

 

 

Moveでも同志社大学に合格した生徒に、愛媛大学を受けさせることがありました。

 

その子は第一志望が同志社であったため、たとえ愛媛に受かっても同志社に行くことが決まっており、僕は受ける必要はないと言ったのですが、「学校にもお世話になったから」と数万円の旅費と手間をかけて愛媛大学を受験・合格し、予定通り入学を辞退しました。

 

「なんて無意味な」

  

塾でそれをやるのは少し理解できるのですが、その塾の先生が行かなくていいと言っているのに、学校が合格実績を増やすためにそんなことをするなんて・・・と驚いたことがあります。

 

結果、補欠で繰り上がった子に余計な不安を与えるだけでしたね。

 

かわいそうに。悪習です。

 

 

 

この点は以前から問題になっていて、

安古市高校の説明会に行くと、学校の先生から

 

「行き過ぎた国公立重視の進路指導を改め、生徒の選択を重視します」

 

という言葉を聞くことがありますが、

様々な噂を聞くと、

まだまだ進路を巡って私立志望の生徒と意見が合わないことが多いようです。

 

 

ただし、2年前に

Moveの高3生が日本の大学を受験することをやめ、

台湾の大学に留学することを決意した時、

安古市の先生の多くが背中を押してくれたと聞きます。

(僕は諸手を挙げて賛成したことは言うまでもありません)

 

生徒の選択を重視してくれた事例も報告しておきますね。

 

 

何れにせよ、この国公立重視の姿勢は、同校の志願者が減少する一因になっていると感じています。

 

近年の安古市高校の倍率が全体的に低調であることと無縁ではないでしょう。

 

 

何度も言いますが、客観的に見て、安古市高校はいい高校ですよ。

 

国公立大学志望の生徒は、大いに目指す価値があると思います。

 

そうでない生徒にとっては、その時の進路指導の先生の方針によるかと思います。

 

参考にしてください。

 

 

 

最後に

 

これまで安古市高校の定員割れに関し考えられる要因を①〜④に分けて考えてきました。

 

ただこの状態が今後も続くとは思わない方がいいでしょう。

 

 

令和5年度入試からは広島県の入試は大きく変わります。

 

選抜1も選抜2もありません。

 

一発勝負の高校入試が始まります。

 

その状態で安古市高校の倍率が1倍を切ることは想像ができません。

 

 

令和3年、4年の出来事を客観的に考察したのも、ただ単にそうした事情があったということを知って、志望校の選定に役立てて欲しいからです。

 

受験生の皆さんを応援しています。

 

 

 

 

この記事を書いた人

進学空間Move塾長

宮脇慎也(Shinya Miyawaki)

27歳で広島大学社会科学研究科の博士課程後期日程を単位取得退学をし、その後学習塾の世界に飛び込む。

8年間の勤務講師としてみた広島の学習塾業界のあり方と大学院で養った知見との乖離に悩み、理想の学習塾を作るべく2013年に個別演習型の学習塾・進学空間Moveを立ち上げる。

その中で、モチベーションのあり方に着目し続ける中で、キャリア教育の重要性を認識し、2018年以降は現在のTHE DOORに繋がる講演会主催活動を主催しながら、時に自身も登壇する。

1977年生。射手座。B型。

家族は妻と長男1人。趣味は広島発祥のスポーツ・エスキーテニス。

 

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コメント: 3
  • #1

    在校生 (月曜日, 10 5月 2021 08:25)

    在校生です。一年生ではありません。
    ここ最近の安古市高校は必死に見えます。
    私たち生徒の気持ちを無視して、山のような課題が出され、テストだらけです。進学校だから当たり前だと思われるのは当然だと思いますし、私たちもそれなりの覚悟をして受検しました。
    課題が多くてもその分楽しいことが待っていると思いましたが、コロナ禍の今、楽しいことなんて待っているはずもなく、目の前にあるのは課題とテストだけです。先生同士のコミュニケーションが上手く計れていないため、食い違いがあったり、課題の量の調整などができておらず、睡眠時間が削られるほど課題が多いです。常に追われて心に余裕が無く、ストレスによって精神的に追い込まれてしまいます。コロナがなければなにか違ったのかも知れませんが、高校全体の雰囲気は良くないです。とにかく先生方は必死です。こんな高校だとは思いませんでした。客観的に見ていい学校だという言葉があったので、在校生から見た安古市高校について述べさせていただきました。私は今のところ、この高校に価値を見出せていません。参考にしてください

  • #2

    宮脇 (月曜日, 10 5月 2021 16:43)

    在校生様
    めちゃくちゃ貴重なご意見をありがとうございます。
    在校生さんは、きっとMoveの生徒さんではないですよね?
    ありがとうございます。

    なるほど。
    コロナ渦における安古市高校はそういう状態なのですね。
    うちの生徒はあまりそのように言っていなかったので、とても参考になります。
    安古市の生徒が課題に追われ、睡眠時間が削られるのは昔からよく聞くのですが、昔はそれに見合うだけの充実感を感じる生徒の方が多かったと認識しています。
    今はそういう状況なのですね。
    残念です。

    非常に貴重なご意見ですので、本記事ででもご紹介させていただきますね。

    またご意見があれば、是非お寄せください。

  • #3

    在校生 (水曜日, 09 6月 2021 16:15)

    安古市高校3年生です。安古市高校に2年間と少し通ってきましたが、本当に安古市高校は国公立を受験したい人にはいい高校です。学習環境は整っているし、部活も充実していると思います。ですが、毎週のように2回は小テストがあり、3年生は追試はほとんどありませんが、1,2年の時は小テストの勉強にとても追われます。精神的に追い詰められるのは必然です。何人もやめていく人を見ました。
    これを理解の上受験してください。